ゲームサントラについて語る005『ナムコ・ゲーム・ミュージック VOL.1』
今回ご紹介するゲームサントラは「ナムコ・ゲーム・ミュージック VOL.1」です。
このサントラにはジャケット写真のとおり「源平討魔伝」のサントラが収録されていますが、他にも「ザ・リターン・オブ・イシター」「サンダー・セプター」「ホッピング・マッピー」「ローリング・サンダー」のサントラも含まれています。
今回は代表して「源平討魔伝」をご紹介いたしましましょう。まぁ、それ以外のゲームにそれほど詳しくないという事情もありますが(笑)
「源平討魔伝」は、1986年に稼動を開始した、ナムコ開発のアーケードゲームです。壇ノ浦の戦い(源平合戦)で敗れた平景清が、異次元の者(プレイヤー)からの布施(コイン)により魔界で復活し、源頼朝を倒しに行くというアクションゲーム(超ザックリ)です。
当時としては珍しい和風な世界観と、ウネウネ動く大きな多関節キャラがインパクト大でした。アーケード版以外にもX68000やPCエンジンなどにも移植されていますが、ファミコン版はハードウェアの限界からか、すごろくになっています(笑)
作曲は中潟憲雄(なかがたのりお)さん。中潟さんのプロフィールは後述します。
アルバムのデータ
アルバム名(日) | ナムコ・ゲーム・ミュージック VOL.1 |
アルバム名(英) | NAMCO GAME MUSIC VOL.1 |
アーティスト | 中潟憲雄/小沢純子/大野木宣幸 |
カタログ番号 | 28XA-170 |
出版元 | アルファレコード/G.M.O. |
販売価格 | 2,800円(税抜) |
収録曲数 | 12曲 |
収録時間 | 39分05秒 |
作曲者はどんな人?
本アルバムの作曲者は3名いらっしゃいます。
小沢純子さん
1トラック目の「ザ・リターン・オブ・イシター」と4トラック目の「ローリング・サンダー」を作曲されているのが小沢純子さん。「源平討魔伝」以外のゲームは、曲が全て1トラックにまとめられているのが悲しい。
小沢さんのデビュー作は「ギャプラス」。他にも「スカイキッド」「ファミスタシリーズ」「さんまの名探偵」など、様々なナムコ初期の名作に携わっておられます。『バビロニアン・キャッスル・サーガ』(いわゆるドルアーガシリーズ)は全て手がけられてるようですね。
小沢さんは2008年にナムコを退社されていますが、今も音楽活動は続けておられます。
大野木宣幸さん
3トラック目の「ホッピング・マッピー」は大野木さんが作曲。
実はゲーム自体は遊んだことないんですが、前作の「マッピー」同様、ポップでノリの良いサウンドが特徴的です。
大野木さんは他にも「ギャラガ」や「リブルラブル」「メトロクロス」など、こちらもナムコ初期の名作を手がけておられます。
現在は実家の味噌屋さんを継がれているとか。味噌屋…
中潟憲雄さん
2トラック目の「サンダー・セプター」と、5トラック目以降の「源平討魔伝」を作曲されているのが中潟さんです。
ナムコではこの2作品以外にも「モトス」や「バラデューク」、源平討魔伝のチーム(源平プロ)が作った「超絶倫人ベラボーマン」などを手がけられています。源平からベラボーマン…
中潟さんは1989年にナムコを退社。その後メルダックやKAZeなどを経て、現在はデジフロイドというソフトハウスの代表をされています。そういえばメルダック時代の「暴れん坊天狗」は中潟さんの作品(ディレクター兼サウンドコンポーザー)ですね。
中潟さんは他にもAQUA POLISというバンドでキーボードを担当されており、2017年に開催された「東京ゲーム音楽ショー2017」では、このバンドで「真組曲 源平討魔伝」を演奏されました。この演奏、実は私、会場で聴きました。大迫力で鳥肌モノでしたよ!
AQUA POLIS演奏の「真組曲 源平討魔伝」は、スーパースィープ発売の「源平討魔伝〜参拾周年記念音盤〜」に収録されています。興味のある方はそちらもお聴きください。
収録曲紹介
01 | THE RETURN OF ISHTAR* | |
02 | THUNDER CEPTOR | |
03 | HOPPING MAPPY** | |
04 | ROLLING THUNDER* | |
05 | 〔源平討魔伝〕テーマ~クレジット~扉オープン~小モード | |
06 | 〔源平討魔伝〕マップモードジングル~大モード | |
07 | 〔源平討魔伝〕平面モード | |
08 | 〔源平討魔伝〕義経 | |
09 | 〔源平討魔伝〕びわ法師 | |
10 | 〔源平討魔伝〕弁慶~ボーナス・ステージ | |
11 | 〔源平討魔伝〕頼朝~完全クリア~ゲーム・オーバー | |
12 | 〔源平討魔伝〕だじゃれの国~テーマ |
「源平討魔伝」のシステム基盤はナムコのSYSTEM86。サウンドはヤマハのYM2151によるFM音源がメインで、他にも音声合成用チップが使用されています。『必殺旋風剣、でや〜!』のアレです。
曲調は和旋律をモチーフにしたロック。当時はゲーセンの基盤にFM音源が採用された初期の初期で、中潟さんは音色作りに相当苦労をされたそうです。曲調を含め、当時の社内では「ナムコらしくない」という声もあったそうですが、結果的に「源平討魔伝」の世界観に非常にマッチした曲になっていると思います。
私のオススメ曲は「テーマ」「義経」「頼朝」「完全クリア」でしょうか。特に「義経」が格好いい。ゲーム中にこの曲が流れてくるとテンションが上がりまくります。各ステージに入る時のジングルもいいなぁ。メール着信音にしたい感じです。
このアルバムは近年復刻盤も出ているため、入手はそれほど難しいものではないと思います。ヤフオクで探すと2,000円くらいが相場でしょうか。
ただ、今から源平のサントラを手に入れようと思われているのであれば、先ほども紹介した「源平討魔伝〜参拾周年記念音盤〜」が断然オススメです。アレンジ版の他に、実写プロモーション映像(DVD)もセットになっていますし。
この実写プロモが(ある意味)凄い。8割くらい景清のコスプレした人がダッシュする映像。あとは謎の恐竜と謎の大魔神と謎の牛久大仏です(笑)
見所は何と言っても、ナムコの社長が所有するベンツの横で、ガソリンを爆破して撮った大迫力の特撮映像!(笑)
この辺のエピソードに興味がある方は、GAMEgeneのVol.3に詳しく書いてありますので、そちらを是非お読みください。
ではまた。
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