これはヘッドホン難民の終着点か。SONY「MDR-MV1」 レビュー

個人的最強ヘッドホン「MDR-MV1」

皆さんこんにちは。ヘッドホン(イヤホン)沼で浮いたり沈んだりしているシオナイト(@sheonite)です。

オーディオ機器なんてものは、音質的にも金銭的にも青天井な世界ではありますが、個人的に手の届く価格帯で、こりゃ最強だなと感じたヘッドホンに出会ってしまったので紹介します。

SONYの開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」です。

製品概要

SONYが2023年5月12日に発売したモニターヘッドホン「MDR-MV1」は、プロフェッショナル向けに設計された高性能な開放型ヘッドホンです。

MDR-MV1の外箱。プロ用だけど一般ピーポーも意識したデザインか。MDR-7506なんて安っぽい透明な箱でしたよ。
MDR-MV1の外箱。プロ用だけど一般ピーポーも意識したデザインか。MDR-7506なんて安っぽい透明な箱でしたよ。
いつもどおり箱の裏も見せていくスタイル。
いつもどおり箱の裏も見せていくスタイル。

価格はオープンプライスで、市況価格は49,000円~55,000円程度(2024年8月現在)。

製品特徴がこちら。
製品特徴がこちら。
そして同梱品。ヘッドホンケーブルとプラグアダプタのみ。
そして同梱品。ヘッドホンケーブルとプラグアダプタのみ。

MDR-MV1」は、オープンバック型のハウジングを採用し、長時間の使用でも疲れにくい軽量設計となっています。デカい頭の私でも、側圧は丁度いい感じです。

箱オープン!緩衝材は袋のみと、至ってシンプル。
箱オープン!緩衝材は袋のみと、至ってシンプル。
これが箱の中身すべて。本体、ヘッドホンケーブル、6.3mmプラグを3.5mmに変換するアダプタ、説明書です。
これが箱の中身すべて。本体、ヘッドホンケーブル、6.3mmプラグを3.5mmに変換するアダプタ、説明書です。
ヘッドホンケーブル。左が本体側、右が6.3mmのプラグです。
ヘッドホンケーブル。左が本体側、右が6.3mmのプラグです。
6.3mmプラグを3.5mmに変換するアダプタ。でかい。
6.3mmプラグを3.5mmに変換するアダプタ。でかい。

イヤーパッドはスウェード調。クッションは柔らかく、耳にしっかりフィットするため、快適な装着感です。汚れても交換品を購入できるみたい。

ハウジングには傷を付けないよう、紙製のカバーが付いていました。
ハウジングには傷を付けないよう、紙製のカバーが付いていました。
スウェード調のイヤーパッド。反発も柔らかい。安っぽいスポンジが入っているわけではなさそう。
スウェード調のイヤーパッド。反発も柔らかい。安っぽいスポンジが入っているわけではなさそう。

ソニーのモニターヘッドホンといえば、定番の「MDR-CD900ST」や「MDR-M1ST」、私が普段使用している「MDR-7506」などがありますが、これらは全て密閉型。

開放型ヘッドホンはハウジング内で音がこもらないため、密閉型に比べて音の輪郭が明瞭です。半面、音がハウジングの外に抜けていくため、低域はやや不足しがちと言われています。

これがヘッドホン本体。穴がたくさん空いているハウジングはアルミ製です。さすがプロ用。
これがヘッドホン本体。穴がたくさん空いているハウジングはアルミ製です。さすがプロ用。

ところがこの「MDR-MV1」、開放型なのに低域もパワフル。それどころか「本当にモニターヘッドホンなの?」って思っちゃうくらい豊かな低音を響かせてくれます。

発売されて間もない頃、ヨドバシ博多で自前のハイレゾウォークマンを持ち込んで試聴したのですが、鳴り出した瞬間、想像を超えた音質に笑いが出てしまいました。

ヨドバシは店内放送がうるさかったので、その数日後、静かな環境でも評価したいなぁと思い、福岡天神のSONYストアでも試聴しましたが、やっぱり凄かった。

元々、自宅にスピーカーを置けない(大音量で鳴らせない)環境ということもあって、高音質なヘッドホンをずっと探していたのですが、これはクリティカルヒットというか、「もうスピーカーは要らんかな」って思ったくらい感動しましたね。

その他、「MDR-MV1」の音質面での特徴としては、立体音響に対応しているところも大きなポイントです。

360 Reality Audio対応の音源であれば、音が頭の周りを立体的に移動する様子をリアルに感じ取ることができます。

また、効果は人それぞれだと思いますが、立体音響に対応したゲーム「Overwatch 2」で使用してみたところ、敵が背後にいる際の足音をはっきりと感じ取ることができました。

ヘッドホン側面。「Professional」の文字が眩しい。
ヘッドホン側面。「Professional」の文字が眩しい。
ヘッドバンドを伸ばしたところ。黒地の塗装にシルバーの目盛りと、非常に高級感のある作りです。
ヘッドバンドを伸ばしたところ。黒地の塗装にシルバーの目盛りと、非常に高級感のある作りです。

ゲーミングヘッドセットで3D対応をうたった製品は数多くありますが、それらの製品で明確に効果を実感できたことがなかったため、これには思わずハッとしてしまいました。

とはいえ、開放型の特徴である音漏れはそれなりにありますので、ボイスチャットしながらのゲームには不向きですね。

さすがに通常の音楽ソースが立体音響になったりはしません(それでも十分音場は広いです)が、コンサートホールで収録されたオーケストラ音源などは、音像が前方に広く現れるような感覚がありました。これからオーケストラを聴くのが楽しくなりそう。

いや~このヘッドホン最高ですわ。

購入して良かった点

シンプルに音が良い

低中高、どの帯域も伸びやかに、バランスよく鳴ってくれます。

それから、うまく表現できませんが、音の立ち上がりが早く、キレがあるなぁとも感じました。

ただ、私の使用環境であるSONYのハイレゾウォークマン「NW-ZX300」との組み合わせでは、若干、アンプが無理してるかなという印象。

ポータブルオーディオプレイヤーと接続しても、問題なく鳴ってくれます。音漏れするから外出先では使えないだろうけど。
ポータブルオーディオプレイヤーと接続しても、問題なく鳴ってくれます。音漏れするから外出先では使えないだろうけど。

アンプを嚙ませればもっとキレッキレに鳴ってくれそうな気がします。

アンプ買うのか?(笑)

インピーダンスが低い

MDR-MV1」のインピーダンスは24Ωと低いため、スマホやポータブルオーディオでも、無理なく駆動させることができます。

ヘッドホンの購入候補として、ゼンハイザーの「HD660S2」あたりも視野にあったのですが、あちらは300Ωでしたので、候補から外してしまいました。

ヘッドホンアンプやポタアンまで揃えられれば良いんですけど、それだと価格帯がずいぶん変わってきますし、携帯性が犠牲になってしまいますもんね。

結局アンプ買っちゃいそうではありますが。

リケーブル可能

ヘッドホンケーブルは着脱式なので、リケーブルで音の変化を楽しむことができます。お財布に余裕があればどうぞ(笑)。

ヘッドホンケーブル接続部。純正ケーブルは差し込むだけでなく、抜け止めのためにネジでロックさせるような機構が付いています。
ヘッドホンケーブル接続部。純正ケーブルは差し込むだけでなく、抜け止めのためにネジでロックさせるような機構が付いています。
ケーブルを挿し込んだところ。ネジ止めするのでガッチリ。
ケーブルを挿し込んだところ。ネジ止めするのでガッチリ。

また、断線した場合でも簡単にケーブルの取替えが可能なので、末永く使えるのもポイント高いです。

微妙だった点

バランスケーブルが付いていない

これだけ高性能かつケーブル着脱が容易なヘッドホンなのに、バランスケーブルは付属しておりません。

SONY純正のバランスケーブルでは、対応製品という記載はありませんが、MDR-1A/1AM2用の「MUC-S12NB1」が問題なく使用できます。

別途購入したバランスケーブル「MUC-S12NB1」
別途購入したバランスケーブル「MUC-S12NB1」
製品特徴が裏側に記載されてます。なんか強そうです。
製品特徴が裏側に記載されてます。なんか強そうです。

しょうがないので貯めてたポイントを使い果たして買っちゃいましたけど、これ13,000円くらいするんですよね。高え。

箱の中身はケーブルと説明書のみ。ケーブル長は1.2mと、やや短め。
箱の中身はケーブルと説明書のみ。ケーブル長は1.2mと、やや短め。
プラグの規格は4.4mmのやつです。
プラグの規格は4.4mmのやつです。

このクラスのケーブルをを同梱しちゃうと販売価格が上がるので別売りにしたんでしょうが、同梱版も用意していただきたかったなぁというのが正直なところ。

収納用ケースが付いていない

開封して最初にガッカリしたのが、ケース付いてないこと。SONYのワイヤレスヘッドホンには付いてるのに…ねぇ。

仕方ないからAmazonで評価の良さそうなヘッドホンケースを買いました。

Amazonで購入したGeekriaのケース。黒が欲しかったけど無かった。
Amazonで購入したGeekriaのケース。黒が欲しかったけど無かった。
ケースを開いたところ。ケーブルも収納できそう。
ケースを開いたところ。ケーブルも収納できそう。

付属のケーブル、別で買ったバランスケーブルも一緒に収納できます。全部入れちゃうと若干パンパンですけど。

MDR-MV1を収めたところ。うん、ピッタリ!
MDR-MV1を収めたところ。うん、ピッタリ!
ケーブル収納の方は、付属ケーブルとバランスケーブル両方入れたらややパンパン。
ケーブル収納の方は、付属ケーブルとバランスケーブル両方入れたらややパンパン。
ケースについていた謎の袋にはプラグアダプターを入れました。
ケースについていた謎の袋にはプラグアダプターを入れました。
全部入れてファスナーを閉めたところ。とりあえず入った。
全部入れてファスナーを閉めたところ。とりあえず入った。

やっぱり純正ケースが欲しいです。SONYのロゴが付いていることが重要なんですってば(笑)。

今回のオススメ度

今回紹介したSONY「MDR-MV1」の個人的オススメ度は★★★★★(星五つ)です。

これまで、様々なヘッドホン・イヤホンを購入してきましたが、性能的に優れている部分があっても、少なからず残念な点があって、決定版と言える製品に出会えてきませんでした。

オーディオ・ヴィジュアル専門誌で絶賛された製品を買って「ウソつけ!クソが!」と思ったことが何回あったことか…。

しかし、この「MDR-MV1」は、ほぼ私の理想通りの製品でした。これでヘッドホン(イヤホン)沼からはしばらく(?)オサラバできそうです。

そこそこ高いけど、それに見合う価値は十分にあるはず。

ではまた。